■第3回 外国人福祉医療人材育成研究セミナー■
「外国人人材受け入れの諸課題と支援策」開催報告

日時
2018年7月30日(月) 13時開会/16時30分閉会

会場
アルカディア市ヶ谷 私学会館(5F 穂高)

主催
一般社団法人国際人流振興協会

後援
公益社団法人介護福祉士養成施設協会、一般社団法人東京都老人保健施設協会
全国専修学校各種学校総連合会、一般社団法人全国各種学校日本語教育協会
一般社団法人日本語学校ネットワーク、公益社団法人ベトナム協会



〈講演1〉「介護福祉教育におけるグローバル人材の可能性」
グローバル医療福祉人材専門委員会委員長
前公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会会長
学校法人敬心学園理事長    小林 光俊 氏

〈講演2〉「介護分野における外国人人材に関する諸制度や動向について
        〜技能実習制度など」

厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課
福祉人材確保対策室長補佐 高相泰忠 氏

〈講演3〉「留学生の入国・在留の状況及び貸与型奨学金の留意事項について」
厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課
法務省入国管理局 入国在留課 補佐官 高竿 正人 氏

〈講演4〉「中国からの介護技能実習制度の活用と中国老人基金との連携の可能性」
日中介護実習プログラム委員会 座長
ときわ会グループ統括会議事務局次長 神原 章僚 氏

当日は全国各地から介護施設の関係者、医療介護人材養成に携わる専門学校・大学等の担当者、日本語学校関係者など約120名が参加しました。

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冒頭、主催者あいさつに立った国際人流振興協会の堀会長は「今回で3回目の開催となるこのセミナーでは、前2回よりもさらに具体的に踏み込んだ議論ができるかと期待している。セミナーを通して諸課題における共通理解と共通認識を図るとともに、養成校や福祉施設関係者など他分野の連携・協業に向けて理解を深めていきたい」と語りました。
続いてセミナーの本題に入り、プログラムに従って4つの講演が行われました。

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日本介護福祉士養成施設協会の前会長でグローバル医療福祉人材専門委員会の委員長を務める学校法人敬心学園の小林光俊理事長は「介護福祉教育におけるグローバル人材の可能性」と題して、介護を取り巻く社会状況について解説しました。小林理事長は「ベトナムから介護人材1万人を受け入れるなど国が外国人労働者の拡大に舵を切るほか、技術革新への対応や教育改革など日本社会はかつてない大変革の時期を迎えている」として、政府の政策や介護職をめざす留学生の就労支援制度などについて語り、「変革の今をチャンスと捉え、グローバルな視点から人材育成に注力してほしい」と呼びかけました。

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厚生労働省の社会・援護局福祉人材確保対策室の高相泰忠室長補佐は「介護分野における外国人人材に関する諸制度や動向について」をテーマに講演。EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者等に対する受け入れ状況と支援策、在留資格「介護」の創設、技能実習制度への介護職種の追加という3点から現況を解説するとともに、介護職種の技能実習生に対する日本語学習の支援制度についても詳しく説明しました。

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法務省入国管理局入国在留課の高竿補佐官の講演は「留学生の入国・在留の状況及び貸与型奨学金の留意事項」について。平成29年度の「留学」の新規入国者数は約12万3千人で、ベトナム、ネパールが増加傾向にあることが示されたほか、留学生の不法残留者数や刑法犯などについてもデータを列挙し、学校関係者に適正な受け入れと在籍管理を求めました。また、留学生が貸与型奨学金を申請する場合の貸与条件や返済条件についても説明しました。

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日中介護実習プログラム委員会の座長で福祉施設を展開するときわ会グループ統括会議事務局の神原章僚次長は「中国との介護技能実習制度の活用と中国老齢事業発展基金会との連携可能性」をテーマに講演しました。中国の技能実習生を円滑に受け入れ、実習先で指導し、帰国後の介護職就業を支援することを目的に2017年に設立されたのが日中介護実習プログラム委員会。中国の政府系機関である「中国老齢事業発展基金会」と協力関係にあり、基金会を通して良質な人材を受け入れています。神原次長は委員会のこれまでの活動実績や高齢化が急速に進む中国の現状、参加団体の福祉施設で実際に指導を受ける研修生の様子などを紹介した上で、中国から技能実習生を受け入れるメリット、デメリットについても解説しました。

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講演に続いては、国際人流振興協会が提唱する「外国人福祉医療人材コンソーシアム」構想について協会の有我専務理事が紹介。福祉施設、専門学校・大学等の人材養成校、日本語学校の三者を核として人材支援の基盤となる奨学基金設立を目指すことなどを説明し、より多くの団体、学校、関係機関の協力を求めました。
最後にグローバル医療福祉人材専門委員会の新井時賛副委員長が閉会のあいさつを行い、「外国人の人材養成のためには日本語の修得が必須。言葉を通して日本の文化、風習を学び、社会で共生していくことができる。今後も“共生”をキーワードに活動を進めていきたい」と述べました。